弘法大師ゆかりの地
人と犬の深い絆を感じられる、心温まる場所があるのをご存知ですか?
阿波市の津田-川島線(県道2号線)を北へ進んでいくと、山あいの景色の中に「犬墓大師堂」の看板が見えてきます。


阿波市市場町にある「犬墓(いぬのはか)」は、弘法大師とその愛犬の伝説の残る地域。
その伝説は、今なお大切に地域住民によって守られています。
犬墓伝説
昔々、弘法大師が愛犬を連れてこの辺りを旅しておりました。
そこに突然、イノシシが襲いかかってきたのです。
愛犬は、弘法大師を守ろうとイノシシと戦いますが、崖から転落して命を落としてしまいました。
かわいそうに思った弘法大師は、そこに小さなお墓を建てて弔った、ということです。
地域に受け継がれる慈愛の心「お茶当番」
そんなお墓の隣には、いつ、誰が作ったのか、庵ができました。
庵には、いつからともなくお坊さんが住みついて、住民と共にこの地を守ってこられましたが、約60年前には住む人もいなくなったのでした。
それからは、住民たちの手でお墓と庵を守る「お茶当番」が始まり、今でも十数軒の住民たちが毎日交代でお茶やお菓子、花などを供えています。
「お茶当番」は、住民たちに「おちゃと」と呼ばれ、当番の旗を回しながら代々この習慣を受け継いでいます。

2002年には、この伝説を多くの人に伝えていこうと、地元の有志によって弘法大師と愛犬の石像が作られました。
また、2017年には、同じく地元の有志が、風雨にさらされて黒く汚れた像をきれいにして、訪れる人を心から迎えてくれます。


お堂の中には参拝者の愛も
「犬墓大師堂」という看板が掲げられたお堂の中には、自由に立ち入ることができます。


中に入ると、弘法大師の像が祀られており、その横には参拝者が持ってきたとされる愛犬たちの写真が置かれています。
参拝者の中には、ドッグフードを小さなお皿に入れてお供えする人がいたり、お堂の入り口で使うための踏み台を寄付する人がいたりと、訪れる人にも愛されている場所です。


「お茶当番」と参拝者とのふれあい
犬墓大師堂は、第88番札所「大窪寺」から第1番札所「霊山寺」へ向かう途中にお遍路さんがよく立ち寄る場所でもあります。
そのため、お茶当番が当たっている住民は、お遍路さんとたまたま顔を合わせることもあるのだとか。
地元のお母さんが、「お堂の掃除をしていたら、『手伝います』と言って、最後まで一緒に作業してくれた人もおったんよ。」と教えてくれました。
お堂の横には、安産祈願のお地蔵様も
お堂の右手側にある小屋の中には、古くから地域の人々を見守ってきた「安産祈願のお地蔵様」があります。
このお地蔵様にも、お茶当番によって、欠かすことなくお茶が供えられています。


のどかな景色も見どころです
山あいの自然豊かな景色は、見ているだけでも癒されます。
鳥の声や季節の風を感じながら、あたりを散歩してみるのもおすすめ。
また、徳島県と香川県の県境へ向けて車を走らせると、名物店主の営む餃子屋さん(松尾餃子店)や、秋には見事な色付きを見せてくれる大イチョウの木があります。
併せて楽しめるスポットですので、ぜひ訪れてみてくださいね!


アクセス
犬墓大師堂
徳島県阿波市市場町犬墓字大北
松尾餃子店
店舗詳細はコチラ
徳島県阿波市市場町大影境目5-4
0883-36-3936
営業時間:12:00~18:00
定休日:不定休
境目の大イチョウ
詳細はコチラ
徳島県阿波市市場町大影字境目92-1